第45回 定期イベント 講演 『日本人が一歩先を見すえて行動するための、中国経済圏の見方』

第45回 定期イベント 講演 『日本人が一歩先を見すえて行動するための、中国経済圏の見方』 2011/05/30

日時:2011年5月29日(土)14:00-17:00 講演テーマ:日本人が一歩先を見すえて行動するための、中国経済圏の見方 ~中国における製造業の今後~ 講演者:株式会社ユアロップ 代表取締役 山田太郎氏 会場:羅湖区 新時代酒店7階セミナールーム 懇親会:羅湖区 陶源酒家 参加者:約30名 主催:深セン和僑会 主幹事:松岡、議事録:梅山

同時開催:第2回和みの会国際交流会in深セン パネルディスカッション 日時:2011年5月29日(土)17:00-18:00 会場:同上 参加者:約50名 主催:和みの会 パネラー:熨斗氏、小林氏、佐伯氏、松岡氏 司会:梅山

今回の定例会はとても豊富な内容となりました。議事録に書くのが非常に難しいほど情報量が多く、正直言ってどこまで理解できたか、またどこまで頭に残ったか分かりませんが、印象に残った部分を報告させて頂きます。

さらに、今回は通常の定例会とは異なって和みの会国際交流会との同時開催となり、懇親会を含めずで4時間にも渡る長いものとなりました。

まず、深セン和僑会の定例会では、株式会社ユアロップの代表取締役である山田太郎氏に講演をして頂き、 マクロな視点からミクロの視点に渡って、日本人、日本企業が認識しておくべき中国を中心としたアジアの状況をお話頂きました。

冒頭から約2時間、ずっとハイテンション、ハイスピードの講演は単なる妄想からでは無く、ご自身の経験や、 情報収集・分析に裏付けられた素晴らしい内容でした。以下に、印象に残った部分を記載したいと思います。

1.1億人という人口があると、生産、供給、物流、市場などあらゆるものが揃い、独立した経済圏を形成する。   例:EU、日本、広東省…   また将来、日本が1億人の人口を下回るのは確実視されている。その時に自国だけで閉じれない状況になる。

2.現在、日本の製品が海外の市場で負けている状況になっている。その大きな理由は、日本は海外で売れる製品を   作れていない事による。例えば、日本仕様しか作れず、海外に持ってくるとオーバースペックになり非常に高い製品と   なってしまい、海外の市場で受け入れ難くなる。かといって海外の要求スペックにあわせられる製品を作る為の   生産ラインは日本には存在していない。

3.2012年秋、次期国家主席の登場により大きく変わる可能性がある中国経済。   現在、次期国家主席が有望視されている習近平氏は文革世代であり、その政治思想は現在の状況と相いれないものがある。   ゆえに中国の経済人の多くは、事業を売却し海外に移住したり、もしくは投資を抑えたり、規模を縮小したり等、   2012年秋に襲ってくるであろう大きな波に備えている。

4.日本企業は資本金を集めるのが上手くなく、銀行頼みの傾向が強い。その結果、リーマンショック後、ある大きな変化   が起きた。それは銀行や証券会社が社債を引き受けてくれなくなった事である。   これにより多くの大手企業は資金ショートを恐れ、投資をせず、現金を貯める傾向が出来てしまった。

5.シベリア鉄道の存在価値   シベリア鉄道は東からヨーロッパへ物を運ぶための主要なルートになるものである。海運に比べ時間、コストとも半分になる。   かつて韓国が北海道に拠点を設ける話があったが、北海道側は韓国人があふれるのを恐れ、その話を受けなかった。   もし受けていれば、今頃、シベリア鉄道の利権で北海道が非常に潤っていた可能性がある。

6.現在、中国の利権争いは素材のさらに上流である資源、原料を狙っている。これにより日本の強みであった素材産業すら   も中国によりコントロールされてしまう。

7.現在は実業(例えば製造業)よりも金融業やプラットフォームを通した手数料ビジネスが一番儲かるビジネスである。   例えば製造業は粗利率は高いが、回転率が悪く、物流の変化など変動するリスク要因が多くあまり儲からない。   楽天は楽天証券を設け、粗利率は非常に低いが確実に安定して利益を取れる仕組みのビジネスに注力している。

8.お金の動きを見る。どこに向かっているのか、インドか、アフリカか、中国か、そんな視点が重要。

9.日本企業が今後、生き残り、成長していくには、スペックマネジメントを重要視する必要がある。   それは製造業であっても物作りに注目するのではなく、マーケティングやブランディングに注力し、   市場に一番合った適正なスペックを見つけ、提供して行く事である。これは情報戦略である。

今回、聞いた話を自分の行動に落とし込むためにはどうすれば良いか、この議事録を書きながら考えています。 皆さんはどう考えますか?

講演会の後、東京和僑会震災支援チーム(山田氏、諸田氏)による被災地支援活動の報告が行われました。

新聞やテレビでは現れてこない部分の情報をお話頂きました。例えば、支援物資の食料品が置き場所が無く傷んでしまう事、送られてきた衣類(古着)が程度がひどく被災者に届けられない事。また倉庫の整理をたった一人の人が行っており、とても疲弊してしまっている事など現地に行った人でないと見えてこない状況があるのだと分かりました。また、津波の被害を受けていない仙台市市街地はほぼ通常通りの状況になっており、もっと観光客に来て欲しいという状態だそうです。

また、東京で行われたチャリティコンサートに深セン和僑会、香港和僑会、上海和僑会の3和僑会の協力で制作し、提供させて頂いたシリコンバンドがコンサートでの寄付活動に大いに役に立ったと報告も頂きました。

通常の深セン和僑会定例会であれば、ここで懇親会に移行しますが、今回は和みの会国際交流会の同時開催という事で、深セン和僑会の女性メンバーによるパネルディスカッションが行われました。

通常はあまり聞く事が出来ないお話を女性メンバーが本音で語って頂き、和みの会の会員だけでなく、深セン和僑会のメンバー同士での理解も深められ、有意義な時間が過ごせたのではないかと思います。和僑会に参加してて良かったなあと思える、ひと時でした。

パネルディスカッション終了後は中華料理レストランに場所を移し、約40名が参加する交流会となりました。

少し興奮気味の東莞和僑会の林さんからのお話、北京和僑会の安田さんからの震災地を訪れての感想、いつ語っても淡々と熱い広州和僑会の大高さん、和みの会からも丸山さんを初め沢山の方からお話を頂き、とても良い時間を過ごさせて頂きました。

刺激とエネルギーをもらい、さあ、自分もやるぞ、と新たに決意を固めた一日となりました。