第12回深セン和僑会 ベンチャーリンク深セン 関 敏氏

第12回深セン和僑会 ベンチャーリンク深セン 関 敏氏 2007/10/13

開催日時: 平成19年10月13日(土) 19:20~20:40
議題: なぜ目標を紙に書いても成功できないのか? ~成功本には書かれていない成功の原則~
講師: 関 敏 氏
開催場所: 羅湖爵士大厦
記載者: 深セン和僑会事務局  田中修一
出席者数: 現在確認中・・・

関氏はこれまで数百人にも及ぶ会社経営者たちへのコンサルティングから、「人はなぜ成功するものもいれば、また失敗する者もいるのか?」とい答えに対し、ある一定の法則を見出そうと独自に研究。この実にシンプルな質問に答えるには非常に難しいものの、成功の要素を整理しじっくりと分析すればおのずとその答えが見えてくる。今回の講演では、一件シンプルなようで複雑な成功の鍵とは何なのかを語っていただいた。

会社紹介

威凌克餐飲(深セン)有限公司 董事総経理 東アジア事業統括部  統括マネージャー

株式会社ベンチャーリンク中国進出に伴い、 マーケティング調査、会社設立などを自ら行う。中国ビジネスを立ち上げて、中国に関わってから3年目 (会社は現在2期目)。12月27日には2店舗目 がオープンと順調に業績を拡大中。

【関氏~これまでのあゆみ~】

<<現職前>>

大学卒業後 マーケティングコンサルティング会社入社。 パキスタンの現地駐在員として赴任。 パキスタンで、軍事クーデターが起こり、政権転覆。 ルールが変わり失意の帰国。一瞬で商売が立ち行かなくなることを経験する。 帰国後、資金繰りの悪化から本体が会社が傾く様子を実感。止む無く退社。 独立をしようと色々なことに手を出すものの上手くいかず断念。全財産が30円になったこともあった。 自らの力のなさに唖然。社会人としてやり直すことに。 当時、勢いのあった店頭公開(現ジャスダック) したばかりの経営コンサルティング会社 ㈱ベンチャー・リンク(東証一部)に入社。

<<現職>>

2年目 全社顧客業績改善3位となりマネージャーに昇進 3年目 チーム顧客業績改善と業務リエンジニアリング活動 ホワイトカラーのTQC活動)で共に全社1位を獲得 4年目 統括マネージャーとして複数チームの責任者へ。 300社以上の業績改善に成功。 5年目 自社の戦略変更「自らがFC本部へ」というスローガン とともに顧客企業との提携解消。それにともない中国 新規事業へ、2度目の自らが経営者としてのチャレンジ中

【本日の講演はこんな疑問を持つ人に】

成功法則を試しても上手くいかないのはなぜ? 「目標を紙に書けば達成する」と言われたのに達成しない。 でも多くの著名な成功をした人は言っている。 私に何か欠陥があるのかしら??と疑問を持つ人 成功を一度したのに、ずっと成功できないのはなぜ? 成功し続けた偉大な企業や個人がいる一方、成功したのに一気に失速した人。 一貫した成功法則はないんじゃないの?ただの運ではないの?と疑問を持つ人 組織のマネジメントや部下育成をもっと上手にやるためには? 部下(国籍問わず)を成長させ、成果を出し続けるためにはどんな行動をしないといけないの? と疑問を持つ人

【成功する為のステップ】

STEP 1 概念の理解 該当する経営理論【仕事術、各種ノウハウ】の全体像と概念を説明する。

STEP 2 身につける手順の理解 その概念を実際にどのように獲得をしていくのか理解する。

STEP 3 自己(自社)の診断 自社(個人)に照らし合わせ、現状診断及び どう適合するか、 演習やディスカッションを行い明確にする。(課題を明確にする。)

STEP 4 プラニング 新しい経営ノウハウを自社(個人)に具体的に取り入れるための 設計図を共にプランニングしていく。(もしくは提案をする。)

STEP 5 実践しノウハウを獲得する Ⅴ実践で起こる様々なハードルや制約条件(組織の圧力など)を 一緒に解決し、自社(個人)の本物のノウハウとして獲得して頂く。

【成功の定義】

成功とは自らの 使命や理念 を多くの人に賛同してもらい、仲間と共に達成し、より豊かで充実した人生を送り続けること。 ::成功への階段::

【成功する人・失敗する人 7つの原則】

<<成功(自分のなりたい姿を達成)するための3つのルール >>

第一のルール 目標達成能力を高める 第二のルール 成功に向かう矢印を作る 第三のルール より大きな成功を勝ち取る

<<成功し続けるための3つのルール (組織を率いて成功し続けるためのルール)>>

第四のルール 高い危機感を共通言語とする 第五のルール 組織それぞれが自らの存在価値に危機感を持つ 第六のルール 人格のマネージメントに移行する

::成功(自分のなりたい姿を達成)するための3つのルール::

【第一のルール 第一歩を踏み出せる目標を設定する】 なぜ、紙に目標を書いても達成できないのか?目標を紙に書いたほうが達成できるのは事実。 しかし完全ではない・・・

::目標達成能力3つの輪:: WANT 達成したいという気持ちを持続させる栄養剤。 CAN できるという気持ち。実際に一歩を踏み出す自信。 MUST 達成させなければならないという大きな一歩を踏み出す危機感。

WANTを明確にしても目標は達成しない。大切なのは、「はじめの一歩」を踏み出すこと。 その踏み出す。原動力は「逃れたい欲求」であり、実際の一歩は「出来る」という自信である。

目標達成能力の高い人は「やりたい」ではなく、「やらなければ自分ではない」というWANTをMUSTと重ねあわせることができる。

<<ある大成功を収めたコンサルタントのケース>>

::目標達成能力3つの輪:: WANT ① クライアントにへこへこしない。 ② サラリーマンの年収10倍を稼ぎたい ③ コンサルタントとして1位の地位を勝ち取りたい。 CAN ① MBA取得(経営戦略を知り尽くす) ② 人脈なしの事業立ち上げ経験あり MUST 独立したら家族を食わせられない。 失敗するかも・・・。

MUSTの危機感が、彼の飛躍的な経営能力と営業センスを磨いた。 そして、WANTが彼の意欲を持続させ成功した。

<<成功した人の背景>>

「やりたい」を「やらねば」という危機感に変えることができる、もしくは、やらないと自分がどうなるかが見える。だけど普通は、「何となくこうなったら」という願望しか抱かないため、危機感を感じず紙に書いても達成できないことがある。

<<名経営者の背景を探ると・・・>>

松下幸之助・・・父親が米相場で失敗、丁稚奉公 アンドリューカーネギー・・・親が事業に失敗。13歳から働く 野尻佳孝社長 テイク&ギニーズ・・・「臆病なので、常にワーストイメージが先に出てしまう」

成功者には臆病な人や貧乏な人が多い。生まれながらに強烈な失敗したときのイメージが鮮明にある。

<<Q1: なぜ達成できないのか?>>

危機感がないため、それを手に入れなくても自分はいいや。変わらなくてもよいと思うため、能力もつかない。

セルフマネージメントのコツ

①やりたいことを明確にする(WANT) ②このままいったときの自分の将来を厳しく予測する。 ③小さな目標を作り、達成させ目標達成への自信を深める。

【第2のルール 成功に向かう矢印を作る】

POINT① それぞれの円を大きくして、達成能力が高まっても、それが成功に向かうとは限らない POINT② この目標達成能力は、内なるもの、成功は常に外との環境のバランスで決まる。自らの成功に至るストーリー を外部環境にあわせて変化させる必要がある。

<<Q2:成功に向かう矢印(戦略)はどのような価値観なのか?>>

神田昌典アルマック代表取締役・・・(市場を間違えること)下りエスカレーターで頑張るようなもの 小林忠嗣株式会社ベンチャーリンク代表取締役会長・・・会社の5年後の存続を保証してくれる唯一のものは適切な経営戦略である 中村邦夫株式松下電器産業代表取締役社長・・・会社は変わるのが常態だ。変わらないことはすなわち倒産を意味する。→「まねした電気」と呼ばれた全方位制戦略をとっていた松下は戦う土俵を絞り込み、71品V商品以外は徹底 <<Q3:成功に向かう矢印(戦略)をどうやって作るの?>>

戦う土壌の選択と自らの強みを強化すること

事例:カーブス 全世界55カ国 10500店舗 2006年度 もっとも成長したフランチャイズ 世界一のフィットネスとしてギネスブック登録 WANT 母親が13歳のときに太りすぎが原因で亡くなり女性の健康サポートを強く願った。 CAN フィットネス業界で、健康科学はプロとしての知識1度目で経営で経営能力を高める。 MUST 医療大学中退(1度目の危機) フィットネス業界で生きていく。 1度目の経営では: 14店舗直営フィットネスを展開後倒産 2度目の経営では: 世界最速のフィットネスチェーン

<<何故これだけの違いが!?>>

1度目の経営の土壌: 業界の飽和、資金を使い高級さとより利便な立地を競った。 1度目の倒産: 目標達成能力は、経験がつきよりよい商品になったので、上がっているが厳しい環境の土壌を選んだため倒産した。

2度目の発展: 強みの再点検 予防医学、女性の健康

高級さや利便のよい「エンターテイメント」としてのフィットネス市場が彼らの強みではないことに気づいた。 徹底的な簡素化、予防医学のみに絞り、 女性専用と変化させた。 この結果、他社との競合を無効にし、当初の目的を果たした。

<<Q4:なぜ成功に向かう矢印を作らないといけないのか?>>

勝ちやすいところで勝つため。必死の努力が無駄に終わることを防ぐため。

セルフマネージメントのコツ

①自分を取り巻く環境の変化を分析する ②自らの強みを理解し、その強みが①の変化予測に 照らしそれでも有効か予測する ③新しい市場を勉強し、別の視点で自らの強みを加えるものがあるか検討する

【第3のルール より大きな成功を勝ち取る】

①仲間が多いと成功確率も、成功の大きさも変わる。 ②周りの人の支援があると、より成功へスピードが早くなる。

<<仲間が多いと成功率も高くなる>>

::DATA 1:: ::組織編制による生産性の比較:: (コンピュータプログラミングでの総生産性) 個々人は特性や好みが違う、補完型組織の生産性が一番高いことはFFS理論などで証明をされている。

::DATA 2::

::FFS理論:: 個々人は特性や好みが違う、補完型組織の生産性が一番高いことはFFS理論などで証明をされている。

<<周りの人の支援があるとより成功へスピードが早くなる>>

セブンイレブン 鈴木会長、清水さんが作ったこととして有名であるが、 実は取締役会が猛反対のところ、 伊藤雅俊会長の「試してみなさい」という言葉で、設立。 ソニープレーステーション開発秘話セガサターン。 NINTENDO64の独占上の市場における2000年代前半の主導権を握った。 当時松下も3DOで参戦したが、大きく負け戦略の価格差で勝利。 プレステ39800円、3DOは7万円、メーカーの価格ルールの壁。 大賀典雄会長と伊庭保財務担当副社長が、現ソニーエンタテイメントの 丸山社長と久夛良木副社長を守った。 人間は必ず社会に所属してしか生きられない→社会に支援してもらえない人は、どんなに優秀でも活躍出来ない。 組織における社会=上司→上司には可愛がられないといけない。

<<Q5:なぜ仲間に応援してもらい、人に応援してもらわないといけないのか?>>

一人で出来ることはたかが知れているため。より多くの人との協力なしでは、より大きな目標は達成できない。

セルフマネージメントのコツ

①人を好きになる ②コミュニケーションの欠陥は人格の欠陥とする (誰も本当のその人を知らずコミュニケーションの とり方で知るから) ③自分の足りない能力の現状分析をする ::成功し続けるための3つのルール (組織を率いて成功し続けるためのルール)::

【第4のルール 高い危機感を共通言語とする】 ベンチャーリンクは平成14年に最高売上・利益を達成したが翌年には 過去最低利益を記録した。

<<成功している企業の代表例>>

トヨタ自動車・・・1兆円企業の現在でも「明日、手を抜いたら倒産する」という危機意識が社内の当たり前としてある。終戦後間もない倒産。寸前の危機を経験して、健全な日々改善の経営が定着した。

ヤマト運輸・・・法人長距離輸送の競争におされ気味、オイルショックの大幅落ち込みで運送需要が減り減益に追い込まれた。このため宅配に活路を求めた。しかし社内の危機感が上手くいかないため、思い切って、松下などの大口顧客から次々撤退。後のない状況で勝負した。

任天堂・・・「任天堂は社会に存在しなくても生きていける。究極には人間にとって不要の娯楽という会社を創っている会社」という厳しい現実認識を持つ。だから常に新しい感動を提供する。

危機感が新しい目標に向かう (任天堂のケース)

1907年 花札からカード製造のノウハウを活かしたトランプ製造 1968年 この時期トランプが普及し、売上げが低迷をしはじめる ウルトラマシン(バッティングマシン)がヒットしゲーム器業界へ 1970年 おもちゃ業界の競争激化、差別化を求めエレクトロニクス分野へ 光と音を作った光線銃の発明に成功 1980年 ゲームウォッチを開発 1983年 その後、ファミリーコンピューターの開発に成功

<<Q6:なぜ、高い危機感、共通言語を持たなければいけないか?>>

飢餓感を持たせないと、人は現状に安閑としてしまい他から頑張る外部環境によって一気に衰退をしていくため

セルフマネージメントのコツ

①厳しい現状の成り行きのシナリオを共有する ②高い目標を掲げ、挑戦する風土を作る

【第5のルール 組織それぞれが存在価値に危機感を持つ】

組織は放っておくと、「官僚組織、硬直した組織」 に変わってしまうため、個人内部にまで落とし込んだ、危機感を持ってもらう

セルフマネージメントのコツ

①部下にどんどん権限委譲を進め、自らの仕事を新しく作らないとなくなる状態を作る ②知識差がつかないように情報共有を出来るだけ進め、それぞれ が努力しなければ、生き残れないと思う環境を作り出す

【第6のルール 人格によるマネジメントに移行する】

誠実な心と感謝の気持ち、正義という社会に組織が存在をする意義を成功しているときにこそ伝えなければ、傲慢な組織が 出来上がる

経営者の持っているバランス感覚は伝わらない。だから組織の肥大化とともに、戦闘力中心の人格がどうしても前面に伝わり やすくなる

某モバイル事業の営業会社、数値至上主義に変わり、「寝かせ」という不正により企業復活まで5年以上の歳月が経過 カネボウや山一、粉飾決算により倒産。正義や誠実さが教育としておざなりにされてしまった結果による 最近の食品会社の不祥事は「人格への移行」をしなかったため

経営者には3段階の段階があり、組織規模の段階で移行をしていく必要がある

Ⅰ自らがトップ営業マンであり、会社のほとんどを自分が切り盛りする

Ⅱ部下の管理や指導によって、部下の力を引き上げていく段階

Ⅲ自らが組織風土を作る段階「心の結束」ができる

(人格によるマネジメントに移行しないと・・・組織がバランス感覚を失い、失速する)

セルフマネージメントのコツ

①自らの行動が「考えていること」「言っていること」「やっていること」と一致しているか検討し、それを修正する ②葬式に人から何と言われているか?想像をして自らの生き様を見直してみること ③自らの付き合いの中で感謝の気持ちの対象と感謝することを明確にすること。伝えること

【第7のルール アウトプットはインプットを絶対に超えない!】

経験し、学び続けること。結果は吸収した知識、経験、努力を上回ることは決してない。大きな結果を生み出したいならば、それ以上自らインプットすることが必須である。

 

第12回深セン和僑会 株式会社ベンチャーリンク 講師:関 敏

第12回深セン和僑会 株式会社ベンチャーリンク 講師:関 敏 2007/10/13

 

なぜ目標を紙に書いても成功できないのか?

~成功本には書かれていない成功の原則~

( 100社を超える企業やビジネスマンを研究、分析し分かった成功の新しい7つのルール)

 

 

 

【講師】

株式会社ベンチャーリンク

講師:関 敏

 

 

[略歴]

1973年5月 千葉県出身

 

大学卒業後、マーケティングコンサルティング会社に所属しパキスタンに駐在。帰国後、独立をして事業をするも軌道にのらず。

 

一から経営の勉強をしたいと思い多数の企業の上場支援や多数の社内からの上場会社社長・取締役を輩出している経営コンサルティング会社 株式会社ベンチャーリンク(現東証一部)に入社。

 

入社後、多数の企業の業績改善や、新しいノウハウを生み出し、数々の賞を受賞。その後、統括マネージャーとして複数のチームの戦略を推進、部下育成などに関わる。

 

2005年ベンチャーリンクでの中国進出が決定。中国展開の中国大陸赴任者第1号として現地に新会社を設立。経営の指揮を取り現在2期目。業績は順調に拡大をしている。

 

[講演概要]

自身の経営の経験や海外での経験、100社以上に上る企業経営者や幹部との付き合い、同僚や部下の独立や転職、社内人事の豊富な事例を見ながら、毎年成長をしていく組織や人間と上手くいかない組織や人間の違いを発見。

 

現在も研究中ながら、その研究過程を今回は和僑会のためだけに特別講演。なぜ成功法則を読んでも成功できないか?書店に出ている成功法則では書かれていない法則を今初めて知るときが来た。