第9回深セン和僑会議事録 EC-Connexion.com Inc. 佐藤 英彦 先生 2007/06/09
開催日時: | 平成19年6月9日(土) 19:20~20:40 |
議題: | 元ジェットパイロットがセスナ会社を経て複数インターネットビジネスで成功するまでのストーリー。 |
講師: | 佐藤 英彦 先生 |
開催場所: | 羅湖爵士大厦 |
記載者: | 深セン和僑会事務局 田中 修一 |
出席者数: | 40名 |
佐藤氏は現在データベースを利用したウェブシステムを開発する株式会社コネクトインターナショナルと、商材をネット上で販売するEC-Connexion.com, Inc.を経営。この2つの会社の運営から現在年商5億円を生み出す成功を収めている。講演では、年商5億円の会社を作り上げるまでの波乱万丈なビジネス人生を惜しみもなく公開した。
会社紹介
株式会社コネクトインターナショナル データベース技術を駆使したウェブアプリケーションの開発などを手かげる。顧客や会員、商品や製品など多数の個別データを一元化し経営の効率化を提供する。この他、各種ホームページ作成、社内LANの構築業務も行う。
EC-Connexion.com Inc. 「わくわくの気持ちを大切にする」をキーワードにネット上で商材を販売する。歯を白くするファストホワイトや、美容整形しなくてもしわが無くなるDECEPTIONなど、アメリカで大ヒットした商品をドロップシッピングという独自の販売法を用いて日本市場で販売している。
佐藤氏の生い立ち
<パイロットになりたい> 少年の頃、叔父に連れられ名古屋で開催される航空ショーに行ったことが第一の人生の転換期だった。目の前を物凄い爆音で飛んでいくジェット機を見て、自分はジェットパロットになることを心に誓った。
高校卒業後、定員数80名、倍率1555倍の航空自衛隊航空学校に晴れて入学。この時の強い想い、「なりたい→なれる→ならなければならない」という思考過程が今後のビジネス人生の原点になっていく。
しかし、その道のりは順風満帆ではなく、途中で視力が基準以下にまで低下。身体的理由からパイロットには適していないと判断され、断腸の思いで除隊することとなる。
整備士としての道を歩むこともできたが、どうしてもパイロットになる夢を捨てることができなかった。そんな時、新聞配達をしながらパイロット養成学校に通うことができる教育プログラムがあることを知り、そこへ入学。だが、それは新聞配達の人材を集めるための口実で、実際にパイロットになるためにはあまりにも非現実的なカリキュラムだったことを後になって知る。
<アメリカへ行こう> 佐藤氏、21歳。アメリカで航空操縦免許を取得しようと思い立つ。このための資金を稼ぐためにリクルート社にアルバイトとして入り、営業を勉強した。
2年後、晴れて資金もでき、夢にまで見た渡米が実現した。アメリカの地を踏んでからは驚きの連続だった。道の広さ、ビルの高さ、商品のディスプレー、そしてモノの安さ。日本で売られている米国製品が本国の4~5倍で売られていることにこの時気づく。全てがカルチャーショックだった。同時にビジネスチャンスをここで垣間見る。
以前勤めていたリクルートの上司から薦められたナポレオン・ヒルの「成功の哲学」で発想の転換を学ぶ。これまでに燻っていたパイロットになる夢が閉ざされた現実をプラスに考える方法をここから学んだ。
<ドロップシッピングとは?>
- メーカーと直接交渉し、日本での販売独占権を取得する。
- メーカー側がはじき出した送料、および手数料込みのカートンの価格を製品個数で割り、その価格にEC-Connexionの利益を上乗せして製品をネット上で紹介する。
- 一個人が個人輸入するという形でEC-Connexionに購入を申し込む。
- 顧客のクレジットカード情報をメーカー側に渡し、メーカー側で決済、その後、EC-Connexion側にメーカー側から同社の利益分をバックする。
- EC-Connexion側は在庫を持たず、メーカー側からエンドユーザに直接発送する。
アメリカ人はロジカルに説明すれば、Yesと言う。事実、佐藤氏はこのロジックで数々の米国メーカーから日本での独立販売権を取得している。「やりたい→やれる→やらなければならない」の思考プロセスがまたもやプラスに働いた瞬間だったと佐藤氏は当時を振り返る。
こうして、「わくわくの気持ちを大切にするEC-Connexion.com, Inc.」が立ち上がった。同サイトでは、データベースを駆使し、セールスレターを効率的に打つなどの営業ツール機能も完備した。この手法を立ち上げてから6年、同社は順調に売り上げを伸ばしている。
また、立ち上げ当初はクレジットカードでの決済だけだったが、その後、代引きでの発送も開始した。現在ではこの方法が全体の6割を占め、売り上げは以前の2倍にまで成長した。
<まとめ> これまでの流通の常識と考えられていた方法に囚われて最初からできないと諦めていたら、佐藤氏の成功は決してなかっただろう。
パイロットの夢が閉ざされた時、そこから這い上がるために不可欠だった「発想の転換」。そして、何よりも「なりたい→なれる→ならなければならない」という想いに掻き立てられ、ただただ前に進むことだけに集中してきた佐藤氏。全てのマイナスをプラスに変えた同氏に学ぶことは大いにあったと思う。
EC-Connexion.com Inc.が運営するサイトは、何れも購買欲を掻きたてる様々な工夫が凝らされている。インターネットという広大な海原で、ウェブサイトを営業ツールとして有効に活用したいと考えている経営者には是非とも訪問していただきたい。
<発想の転換> 「普通のパイロットではただの雇われ者、自由に空を飛ぶなら飛行機のオーナーにならなければならない。そのためにはどうしたらいいか?そうだ!社長になろう!経営をもっと勉強して会社を作ろう!」
発想の転換でパイロットになる夢を再びプラス思考に変えた佐藤氏は、その後商社の飲食事業で3年間再び営業を勉強、途中、カリフォルニアへ1年駐在し現地の店の建て直しプロジェクトに携わる。
<独立準備> 帰国後、いよいよ独立準備に入る。米国製のレーザー関連商品を日本で販売する事業を立ち上げるが、メーカーから日本での独占販売権を得る交渉がなかなか進まなかった。メーカーの副社長は以前日本企業との取引でとても嫌な思いをさせられていたためだった。しかし、佐藤氏は自分の商品に対する思いを毎週1回FAXでメーカー副社長に送り続けた。
3ヵ月後、“You’ve got a deal!”(取引しましょう!)のFAXが返信されて来た。「やりたい→やれる→やらなければならない」の思考プロセスがまたポジティブに展開した瞬間だった。
<売れるはずの商品が売れない・・・> メーカー側からの条件は500個購入すること。当時、東急ハンズで同じ商品が5万8000円で売られていたので、これを1個US$35で仕入れて日本で2万2800円で販売すれば十分に儲けがある計算だった。
父親から借金してメーカーから製品を500個購入。問屋に卸すのではなく、モノマガジン(広告費は45万円)を利用し、エンドユーザへの直接販売を試みたが、売れたのはたった3個だった。
売れ残った商品をおもちゃ屋へ持ち込んだが門前払い、やむを得ず、東急ハンズで販売してもらうよう頭を下げてお願いした。先方は販売を了承したが・・・・それでも売れない。
販売ブースに暗室を設けたらどうかというアイデアが浮かんだ。レーザーは明るいところではその効果がよくわからないからだ。そこで暗室を設けたら少しずつ売れ出し、最終的に450個の販売に成功した。
<売れに売れた!しかし在庫で泣かされることに・・・> その後、会社は順調に成長、様々な商品の販売を手かげたが、その一方で資金繰りの問題にも直面していた。
売り上げが上がっても、次の商品を仕入れるために毎回現金が必要だった。その現金を得るために借金しなければならなかった。結局、会社に残る金はそれほど多くなく、経営的にはまだまだ改善の余地があった。
そんな矢先、詐欺事件に遭ってしまう。当時人気商品だった「宙に浮く地球儀」を1000個、コンテナにして2個分を騙し取られてしまった。この時、在庫を持つリスクがいかに怖いかを思い知らされた。また営業して買ってもらうスタイルから抜け出さなければならないとも考えた。
<在庫なしでモノを売りたい!> 丁度、アメリカはIT産業が急成長していた。これからは、インターネットだと考え、プロバイダ事業を展開しようとカリフォルニア州サンノゼへ向かう。ここでホームページ制作とデータベースの技術を取得する。
その後、データベースを利用して何か出来ないかを考え続けた。 また、「インターネット上でモノを売りたい、でも在庫は持ちたくない。これをいかに実現するか?」を思案した。
たどり着いたアイデアは、「在庫を持たずに客だけを集め、メーカーから直接発送してもらう。そうすれば在庫を持たずにモノを売ることができる。」だった。これがドロップシッピングを始める最初のきっかけとなる。
しかし、メーカーは通常、カートンごと、あるいはコンテナごとでFOBでモノを売るのが常識。誰に相談しても、「それは無理な話だ」と言われ、「諦めろ!」とされ言われ続けた。
佐藤氏は諦めなかった。アメリカのメーカーは本土とヨーロッパをターゲットにして商品を開発しているため日本市場は重要視していない。そこで、佐藤氏は、メーカーが日本の個人に販売するきっかけを佐藤氏が作り上げ、実際に販売が発生したら利益は全部メーカーのものとなることを力説。その販売手法をロジカルに説明した。